今日を生きる、明日生きるために生きる ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ

今日を生きる、明日生きるために生きる ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ
さっぱど
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こんにちは!さっぱどです。

今回は、ディーリア・オーエンズさんの「ザリガニの鳴くところ}です。

こんな方におすすめ。

  • 自然豊かな生態系を味わいたい方。
  • 二つのストーリーが、重なり逢うミステリーを楽しみたい方。

全米500万部突破感動と驚愕のベストセラー

ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。

6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたった一人生きなければならなかった。

読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。

以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へ思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。

表紙より
さっぱど
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この本は面白かった!流石に売れている本だけありますね。

まずは簡単に、登場人物から。

登場人物

・キャサリン(カイア)・クラーク 

湿地のほとりの小屋に住む女性

・ジョディ カイアの兄

・テイト・ウォーカー

村の青年 ジョディの友人

・チェイス・アンドルーズ 村の青年

・エド・ジャクソン 保安官

・ジョー・パーデュ 保安官補

・ジァンビン 船着き場の燃料店(ガス&ベイト)店主

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カイアの成長パート、

捜査パートで物語が進んでいきます。

重めのストーリー、約500ページとハードルやや高めですが、

それぞれが後を引く余韻を残して、読者を誘引していきます。

時代背景も入りやすくソワソワ読了。 

その中から、印象深いものを紹介します。 

レビュー三選:拍動する命

孔雀の美学 

さっぱど
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保安官のエドとジョーが、カイアの小屋の捜査の場面にて・・・

~前略~

「まぁ、そういう知識はないかもしれんが、彼女はなかなかの物知りだぞ。

雄の孔雀は見栄ばかり張って、セックスのために競い合ううちに、

ほとんど飛べなくなっちまったんだ。おれには難しいことはわからないが、

ちょっと考えさせるものがある」

P.342
さっぱど
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あぁ!若い男と一緒!と読んでいたら、 

他のページでも似た場面があります。

シー・オークスの町の図書館でカイヤが、

母さんの忠告を思い出すシーン。

「つまらない男ほど騒がしいほど音を立てがるものよ」

 カイアは、ずっと昔に母さんが姉さんたちに忠告していたのを思い出した。錆だらけのトラックのエンジンを派手にふかしたり、ラジオの音をがんがんに響かせてぽんこつ車を乗り回す若い男たちについて、母さんはこう言ったのだ。

「つまらない男ほど騒がしいほど音を立てがる者よ」

P.254
さっぱど
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母さんの鋭い忠告。💦 

拍動する命 

さっぱど
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七月四日、大学生のテイトをカイアが待っている場面。

一か月ぶりに合う約束の日に彼は現れず…

絶望から、無気力になっていくカイアの心境が描かれる…

 ふとカイアは上体を起こし、そちらに注意を向けた。一匹の雌が信号を変えたのだ。その雌はさっきまで正しいチカリとジーの組み合わせをお送り、仲間の雄を引き寄せて子づくりをしていた。ところが、今度はべつの信号を送り、違う種の雄を引き寄せている。二匹目の雄は彼女のメッセージを読み解き、交尾を希望している仲間だと納得してその上を飛びまわった。と、雌の蛍が不意に起き上がって彼をくわえたかと思うと、むしゃむしゃとその雄を食べ始め、

六本の脚も左右の羽もきれいに平らげてしまった。

カイアはほかの蛍にも目をやった。雌たちはおしりの光らせ方を変えるだけで、いとも簡単に望みのものをーーー最初は交尾で、次は食事をーーー手に入れていた。」

ここには善悪の判断など無用だということを、カイアは知っていた。そこに悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけなのだ。たとえ一部のもの犠牲になるとしても。生物学では、善と悪は基本的に同じであり、見る角度によって変わるものだと捉えられている。

P.198
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このポイントが、この物語の根幹をついている、 

カイアの気持ちを表している。他にも、

  • 捕食者の注意を惹かないように、見た目が違う仲間を集団で殺す七面鳥
  • 自分の交尾の相手を貪り食う、カマキリの雌。
  • 自分の飢え死を防ぐために子ギツネを捨てる、雌ギツネ
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自然の中で生きる、今日生きるというシンプルな目的が、描かれている。

それが生きる、只々生きる自然の摂理だと感じた。

まとめ:心の奥底、ザリガニの鳴くところ

さっぱど
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まるで自分が、一人で成長していくような感覚で読めます。

不安と孤独を抱えながら生きる術を身に付けていくさまは、

私たちに何かを突き付けられているようです。

舞台が湿地で重めのテーマですが、

自然の美しさが心を洗ってくれます。

ラストの裁判のシーンは、ソワソワ。

どうなるんだろぅ~という感じで

目が離せません!

心の奥底、ザリガニの鳴くところに、

そっと耳を傾けませんか? 🐚

それでは、また。

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